団時朗さん(郷秀樹隊員)に捧ぐ
昭和46年4月2日 ウルトラマンが帰ってきた
昭和46年(1971年)4月2日は私にとってウルトラマンが帰ってきた記念日でした。
第二次ウルトラブームの始まり。
昭和40年生まれの私にとってウルトラマンやウルトラセブンはリアルタイムには幼すぎたので、幾度となく再放送された番組を見尽くし、おそらく全てのエピソードを知っていたと思う。怪獣や星人も全て覚えていた。当時、怪獣図鑑とか持っていたんじゃないかな。
さて、何か情報番組でウルトラシリーズの新作「帰ってきたウルトラマン」の放送が始まると知り狂喜乱舞しました。テレビで時折、流れる番宣には、アーストロンやタッコングが出ていました。
全ての怪獣を覚えていた私も新怪獣の登場にわくわくが止まりません。
そして運命の4月2日午後7時、早めの夕食をすませた私は、居間の主役である家具調のカラーテレビの前に鎮座し、その時を迎えます。
キラキラとした万華鏡のようなバックに「帰ってきたウルトラマン」のタイトル、オープニング曲がはじまり、それまでのウルトラシリーズをオマージュしたシルエット。
ついにウルトラマンが帰ってきた!
なんと物語開始早々にタッコングとザザーンが港で怪獣同士の対決。後半はアーストロンが登場しウルトラマンと対決。第一話に3頭もの怪獣が登場する大サービス。
怪獣退治のチームMATのマットアローの他、マットジャイロという機能的な飛行マシン。
当時大人気のスポーツカー「コスモスポーツ」がMATカー。
郷秀樹=団次郎さんの魅力
思い起こすと、第二次ウルトラシリーズの主演には共通点がありました。第一次ウルトラシリーズのハヤタ、モロボシ・ダンは憑依しているウルトラマンやセブンの性格なので冷静沈着で完全無欠だった。
一方で帰ってきたウルトラマンは融合する前の郷秀樹そのものの性格であり、若者ゆえの未成熟な部分があり、間違った判断をしたり、感情にながされたり、思い悩んだりする。
失敗や苦難を乗り越える人間臭い郷秀樹をクールな二枚目である団次郎さんが演じたのは、今でいうギャップ萌えというか、子供心にあこがれたものです。
生活感が見える「帰ってきたウルトラマン」の作風
郷秀樹は、もともとレーサーで坂田自動車自動車修理工場のスタッフです。工場の経営者の坂田健(岸田森)は郷の師匠です。健の妹アキ(榊原るみ)とは、相思相愛の関係。その弟の次郎は郷を兄のように慕っています。
物語中盤に坂田健とアキの姉妹は、ウルトラマンを精神的に追い詰めるためにナックル星人に殺害されます。そして一人残った次郎を引き取るのです。
ハヤタやダンの私生活が劇中に出てくることはありません。第二次ウルトラシリーズでは、人間模様が描かれ、チーム・隊員間での信頼関係を築く過程など主人公の成長物語が同時進行していきます。
これまで詳細な人物描写が描かれたのは「帰ってきたウルトラマン」の郷秀樹=団時朗さんだけではないでしょうか。(令和版はよく知りませんが)
帰ってきたウルトラマン 魅力的な怪獣10選
凶暴怪獣 アーストロン
記念すべき最初に帰ってきたウルトラマン(以下:新マン)に倒された怪獣。二足歩行型・角という古典的な風貌は1作目にふさわしい怪獣然とした怪獣でした。
古代怪獣 キングザウルス三世
第四話にして早くも新マンを倒した四足歩行の古代怪獣。二本の角と背びれという恐竜にいそうだが、口から光線・角からバリアーを出す。
古代怪獣 ツインテール
怪獣が着ぐるみなのは幼い私でも知っているお約束だったものの、これどういう仕掛け?と思っていた。頭が下でムチ状の二本の尻尾が上にあるという逆立ち状態がデフォルト。
さらに攻撃を避けるとき、逆エビ状態に体を曲げる。
これはどうなっているんだ?と思わせるのは円谷英二イズムでしょう。
同時に登場したグドンの餌で食べるとエビの味がするらしい。
竜巻怪獣 シーゴラス & 津波怪獣 シーモンス
南海に島に生息する本来はおとなしいツガイの怪獣。いろいろあって二匹を激怒させてしまい東京を津波の危機に陥れる。初代ウルトラマンでムラマツキャップ役の小林昭二さんが別役でゲスト登場している。竜巻・津波シーンはシリーズきっての大特撮。
新マンに倒されることなく産卵のために島へ帰っていった。
宇宙大怪獣 ベムスター
何でも飲み込んでしまう腹部の口は新マンのスペシウム光線さえ吸収した。ここで「ウルトラセブン」参上。新マンはウルトラシリーズ史上もっとも便利な万能武器「ウルトラブレスレット」をセブンから渡され、いとも簡単に倒してしまった。
二足歩行のときと飛行形態が異なりかっこよい。個人的に新マンの中で一番好きな怪獣。
電波怪獣 ビーコン
顔が信号みたいでユニークだった以外はほとんど覚えていない。
なぜか、教科書にずっとビーコンを落書きしていた思い出があり好きだったのだと思う
宇宙調査員 メイツ星人
帰ってきたウルトラマン最大の問題作「怪獣使いと幼年」に登場する善良な宇宙人。
作中はほとんどみすぼらしい老人の格好だが、実はメイツ星から地球の環境調査に来た際に凶暴な怪獣ムルチと遭遇し人々を守るため念動力で地底に封じ込めていた。
当時社会問題になっていた地球の環境汚染によりメイツ星人は重病を患い故郷で帰れなくなっていた。
身なりや謎めいた点から忌み嫌われ暴徒化した地球人に襲われる。
少年時代にこのエピソードはトラウマになっていた。
後年、裏エピソードを知ることになった。いずれブログに書きたいと思う。
光怪獣 プリズ魔
ウルトラシリーズに時折このタイプの怪獣が登場しますよね。初代ウルトラマンのブルトンみたいに個体、無機物っぽい怪獣。
これは、新マンの一人芝居で戦いを成立させる難しい演技ではないでしょうか?
アントニオ猪木はホウキが相手でも名勝負が言われたものです。
プリズ魔の決闘シーンはきれいでした。
宇宙忍者 バルタン星人Jr.
宇宙忍者 バルタン星人Jr.が登場したとき、子どもながらにテコ入れかなと思ったのです。
不思議だったのはジュニアの名称。そもそも星人のジュニア?個人名ではなく?
小学校低学年ながら疑問だらけ。
大人たちは、もっと考えてほしかった。
でも、それなりに嬉しかったですよ、当時は。
原始地底人 キング・ボックル
地底人なので宇宙人ではなく同じ地球人。しかも古代人類が地殻変動によって地底に閉じ込められたらしい。つまりはこの戦いは同族間の争い。戦うのは外星人の新マン。今考えると複雑ですね。
私の印象は顔。後の雨宮慶太のデザインみたい。
帰ってきたウルトラマンを振り返りました。
団時朗さんのご冥福をお祈りします。
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