角川映画の洗礼「読んでから見るか、見てから読むか。」

日本映画を変えるムーブメント

怪獣映画から角川映画へ、少しだけ大人に

小学生の時は、映画館で観に行くのはゴジラ映画だけでした。夏休みや冬休みのお楽しみが映画だったのです。初めて観た洋画は「ジョーズ」珍しく父親が映画に誘ってくれたのです。超話題の映画だったのでワクワクしたのを覚えています。ブルース・リーを経て中学生になると友人達と未知との遭遇、スターウォーズ、エイリアンなどを観に行くようになります。今のシネコンと違い映画は基本的に二本立てで客の入れ替えはなし。時間は有り余るほどあるので半日ほど映画館で過ごすのは普通でした。洋画は映画館で観ていましたが邦画をスクリーンで観ることはありません。当時の自分はそのうちテレビで放送されるから、テレビで十分だという考えでした。実際そうでした、洋画もそうですが一週間毎日のようにどこかのチャンネルで夜9時からナントカロードショーが放送されていました。しかし私の考えを映画感を変えるムーブメントが起きるのです。

衝撃すぎた「犬神家の一族」のCM

まずテレビコマーシャルが鮮烈でした。「読んでから見るか、見てから読むか。」試験に出るような名作の本は読んだことはありませんでしたが、星新一のショート・ショート文庫が大好きでした。短編なので読みやすいし一つ一つの物語が風刺がきいているし落語のようにオチがある、なにより本が200円程度で安い。本屋さんにはよく通っていたので新潮文庫や角川文庫の存在は知っていました。

その角川文庫がメディアミックスで文庫と映画を同時にコマーシャルしているのです。しかも横溝正史の「犬神家の一族」というミステリー。横溝正史の作家名を知ることになるのですが“犬神家の一族”というワード、映像に出てくるスケキヨの不気味なマスク、沼から逆さに突き出る両足、怪しげな音楽、私の興味をそそるには十分すぎました。「読んでから見るか、見てから読むか。」の問には先に映画館で見ます。本屋にも駆け込みました。平積みされていましたし衝撃だったのは表紙絵のおどろおどろしさ、まるでお化け屋敷の看板のようでした。他にも横溝正史作品が並んでいましたが作品名も表紙も同様でした。レジ付近に入場割引券が置いてあり一枚いただいて帰りました。

邦画に目覚めさせてくれた角川映画

そこから角川映画ブームが起きるのですが私もすっかり乗せられました。映画館では必ず次回作のCMをやっているのです。おそらく撮影がそこまで進んでいないのでイメージ的なものです。例えば「人間の証明」の予告はジョー山中のテーマソングをバックに「母さんぼくのあの帽子どこにいったんでしょうね」という詩がよまれ、映像は麦わら帽子が谷底へ揺れながら落ちていくだけ、そして「原作:森村誠一」「人間の証明」。どんな話かさっぱりわかりませんし森村誠一がどんな作家かも知りませんが、とにかく面白そうと思ってしましました。「野性の証明」ではこれがデビューとなるまだ幼顔の薬師丸ひろ子さんが暗闇で怯えているような映像で「父さんだれか来るよ…」同じようにテーマソングに「戦士の休息」が流れ原作:森村誠一、なんだかわかんないけど、面白そうだし女の子もかわいいし。
角川の戦略にすっかりハマってしまいます。

大人に近づくに連れ市川崑監督の偉大さを知り、ビデオやテレビでスクリーンで観た作品をまた観たり、見損なった作品を観たり。
今ではサブスクで多くの作品を気軽に観ることができますね。個人的には青春時代の多感な時代に多くの影響を受けました。大人の事情でゴタゴタあったようですが良作をたくさんつくってくれた角川映画に感謝しています。
私のベスト角川映画は「魔界転生」です(原作:山田風太郎、監督:深作欣二、主演:千葉真一、沢田研二)

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