柳生十兵衛と千葉真一
nostalgicday2024映画「柳生一族の陰謀」1978年公開
千葉真一が柳生十兵衛を演じるまで
千葉真一が初めて柳生十兵衛を演じたのは1978年公開の映画「柳生一族の陰謀」です。隻眼のためアイパッチをして中剃りをしていないちょん髷のワイルドな姿と千葉真一の名演が光り以降、作品がかわれど柳生十兵衛のはまり役になります。
任侠映画が日本映画のいちジャンルを築いた時代でしたが「仁義なき戦い」シリーズ以降は角川映画に押され下降気味だった東映が起死回生を狙ったジャンルが時代劇です。アクション映画が得意だった深作欣二を監督に迎え萬屋錦之介と千葉真一を主演、その他豪華大物キャストが名を連ねた大作「柳生一族の陰謀」は大成功を収めます。以降、「赤穂城断絶」「真田幸村の謀略」と合わせ東映時代劇三部作と呼ばれます。
千葉慎一はテレビドラマ「キーハンター」など私たちのあこがれのかっこいい大人の代表でした。二枚目でアクションができる大スターなのです。クエンティン・タランティーノら海外の映像クリエイターにもマニアックなファンも多く「キル・ビル」ではハットリハンゾウ役で出演していますね。
柳生一族の陰謀の十兵衛
柳生十兵衛が隻眼だっかどうかは諸説あるようですが肖像画では両目が描かれているそうです。
十兵衛が隻眼になったシーンは「柳生一族の陰謀」で描かれています。十兵衛の実父・柳生但馬守（萬屋錦之介）と将軍家剣法指南役を競うライバル小笠原玄信斎（丹波哲郎）と戦った際に相手の左腕に一太刀浴びせたものの自身も左目を失明すことになりました。
「柳生一族の陰謀」は三代将軍相続争いで劣勢だった家光を将軍に担ぐことで自らの実権を握る陰謀を巡らす柳生一族の物語。次男・駿河大納言忠長（西郷輝彦）派との跡目争いで魑魅魍魎の世界が繰り広げられる中で、大御所・萬屋錦之介に勝るとも劣らない怪演で柳生十兵衛・千葉真一が強烈なインパクトを残しました。
映画「魔界転生」で千葉真一＝柳生十兵衛が完成
千葉真一は映画・テレビで柳生十兵衛役を四回演じています。その中でも私の一番のお気に入りが「魔界転生」です。
原作は山田風太郎のファンタジー時代劇、「柳生一族の陰謀」と同じく監督：深作欣二・主演：千葉真一のコンビの今回は角川映画です。
魔界転生 あらすじ
寛永15年の島原の乱で2万人の信者と共に惨殺された天草四郎時貞（沢田研二）は、信者たちを見捨てた神を見限り、悪魔の力で蘇り徳川幕府の壊滅を狙う。この世に未練がある死者の心のすきを付き魔界に落とし転生させる力を得た四郎は、細川ガラシャ（佳那晃子）、宮本武蔵（緒形拳）、宝蔵院胤舜（室田日出男）、伊賀の霧丸（真田広之）を次々と蘇らせ仲間に加えていく。
天草四郎一行の存在を知り危機を感じた幕府惣目付の柳生但馬守宗矩（若山富三郎）は、宝蔵院胤舜を破ったもの病のために力尽きる。四郎の転生の誘いを「この世に未練はない」と断るが成長した息子・柳生十兵衛（千葉真一）と剣を交えたかったという想いをつかれ魔界に落ち転生してしまう。
武蔵をなんとか倒した十兵衛は、父・但馬守宗矩、天草四郎時貞を倒すべき江戸城へ向かった。
深作欣二の演出、大物俳優の怪演
「柳生一族の陰謀」の重厚路線と比べるとファンタジー作品ですが内容はシリアスかつアクション満載。千葉真一もさることながら魔界に落ちた若山富三郎、沢田研二の怪演、クライマックスの燃え盛る江戸城での最終決戦は圧巻です。
私が日本映画でもっとも繰り返し観た作品です。史実に振り回せられることなく振り切った面白さがあります。
この後も柳生十兵衛が登場する映像作品が度々。作られていますが「千葉真一版柳生十兵衛」が踏襲されています。
紹介した2作品はおすすめですよ。
※このコラムでは史実ではなく作品上の内容です。
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