金田一耕助と石坂浩二と古谷一行と

2.5枚目の名探偵 金田一耕助

市川崑監督・主演石坂浩二が生み出した「金田一耕助」

角川映画のこけら落とし1976年公開の『犬神家の一族』は名匠市川崑監督、主演の金田一耕助役は石坂浩二で大ヒットとなりました。それまで知らなかったのですが横溝正史原作の金田一耕助シリーズは度々、映像化されていたのです。石坂浩二演ずる「金田一耕助」は、ボサボサ頭で和服に袴、事件に行き詰まると髪をかきむしりフケが床に散らばる不潔なキャラは原作に近いのです。
それまでの同役はきりっとしたスーツ姿の二枚目でした(片岡千恵蔵など)。当時としては主役を務める銀幕のスターにこんなキャラはさせられなかったのでしょうね。

『犬神家の一族』の大ヒットをうけて石坂浩二版金田一耕助は、風貌だけでなく温厚で人懐こく癖がある登場人物か、そして犯人からも慕われる存在というのもキャラが確立し、その後の同役にも踏襲されていくことになります。

石坂浩二さんの映画作品は金田一役以外はほとんど見ていません、TVでは「ありがとう」などのホームドラマや親友である大橋巨泉さんが企画したクイズ番組などで拝見していました。好感度が高いですよね、ドラマのキャラでも優しくてインテリで物知りで芸術的な素養も持ち合わせています。まさに実物大の石坂浩二さん、そのものですね。ただ原作の金田一探偵はもっと三枚目のようです。

石坂浩二版 金田一耕助

意外なことに石坂浩二さん金田一耕助映画は調べてみると以下の6本だけなんですね。
テレビ放送や衛星放送、最近では配信でも見ていたのでもっと多いと感じていました。
①犬神家の一族(1976年開)
②悪魔の手毬唄(1977年公開)
③獄門島(1977年公開)
④女王蜂(1978年公開)
⑤病院坂の首縊りの家(1979年公開)
⑥犬神家の一族(リメイク版:2006年公開)

すべて観ましたが実際に映画館で鑑賞したのは『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』『獄門島』の三本。文庫本で原作を読んだのは角川映画の大一作でもある『本陣殺人事件』(ほんじんさつじんじけん)の2冊だけなんです。

古谷一行版 金田一耕助

では一番、金田一さんに触れる機会が多かったかというと、古谷一行さんが金田一耕助を演じるテレビドラマシリーズです。先日お亡くなりになって寂しいかぎりです。
テレビシリーズの放送は映画の上映時期と重なるのは当時は画期的だったのでないでしょうか。この数年前に小松左京原作の「日本沈没」も映画とテレビドラマが同時期でした。この横溝正史のテレビシリーズはこの後も映画とリンクするように森村誠一の「人間の証明」も放送されます。放送は1977年より放送開始で森村誠一シリーズを挟んで2シーズンが放送、その後2時間ドラマ枠でも度々放送され、お茶の間では古谷一行さんが定着していたのではないでしょうか。

古谷さんもまた石坂さんの金田一キャラと似ていますがそれぞれの個性が出いて大好きでした。警部役として長門勇さんが登場するのですが最初のうちは、貧素な見かけの金田一を信用していおらず敵視していましたが、難事件を尽く解決する金田一を頼りにするようになるというドラマシリーズ物らしい展開もありました。人情派警部の長門勇が親友として金田一を気遣う様子はこのドラマシリーズの魅力だった感じています。
今はアマゾンプライムで振り返って観ています。

同時期には松竹作品の「八ツ墓村」では渥美清が一作だけ金田一耕助を演じました。とても好きでしたが松竹と角川の契約の関係でこの一作のみでした。石坂さん、古谷さん以降には様々な役者が金田一を演じましたが、未だにこの二人が私のベスト・オブ・金田一耕助です。

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