今回はおもちゃ修理のボランティアの案件です。
変身ベルトDX聖剣ソードライバーのブックが開かない
進化する変身ベルト 令和仮面ライダー第2弾 仮面ライダーセイバー
この変身ベルトDX聖剣ソードライバー、子ども達に大人気の仮面ライダーの変身ベルトです。壊れた部分ですが仕組みとしてはこのソードをベルトから抜くと装着しているワンダーライドブックが開き声が出ます。この変身ベルトを持ってきた方によると「音は出るのですがブックが開きません」とのこと。
おもちゃ修理のボランティアで難しいのは壊れた状態で持ってくるので正常に動いてる時の状態がよく分かりません。この変身ベルトはお預かりして一旦持ち帰ることになりました。
ネットで調べてみるとバンダイの公式サイトにPR動画が上がっていました。確かに券を引き抜くとワンダーライドブックが開いてブックの種類に応じてセリフが変わるようです。
バンダイ公式サイト
原因究明にはまず分解
ワンダーライドブックを装着することには問題ないです。
しっかりととカチッと装着できます。ワンダーライドブックを調べてみるとブックの底の部分にボタンらしきものがあります。騒動を引き抜くと瞬間的にベルトのソードライバーバックルの中から突起が飛び出しブックの底のボタンを押す仕組みになっています。
ワンダーライドブックは問題ないようなので、このベルトのフォルダーに故障の原因があるようです。
改めてすごい仕掛けですね。それでは分解して仕組みを調べてみたいと思います。バックルに、ネジの数がハンパありません。小さなネジをなくさないようにマグネットをつけた容器に置いていきます。
中身が見えました、突起がある3つの部品をクリアー棒状の部品がスライドして押し上げる仕組みのようです。仮面ライダーの変身ベルトは新番組が始まるたびに発売され子どもたちに大人気です。
このブログでも紹介しましたが前回の変身ベルトは単なる電池切れでした。
この変身ベルトは電気的な故障ではなく突起が飛び出す仕組みが何らかの原因で飛び出さなくなっているアナログ的な故障だと思います。
今回の案件はパーツの欠損か不足によるものと思いますが見た感じ問題は感じられません。
スプリングもちゃんと付いています。それぞれの部品を仮組みして動かしてみます。
動いてはいるものの何か動きが不自然です。部品をそれぞれ1つずつ拡大鏡を使って見てみます。
こんな時、老眼で乱視の私は困ってしまいます。不自然な動きをするパーツをよーく見てみるとわずかですがパーツに白く見える部分がありました。
この部分は丸い部分を軸に振り子のように動く仕組みですが、この動きがゆるゆるになりポロッと落ちるのです。
図のようにこの角度から見ると左右対称になっていなければならないはずですが、片面が1mmぐらい、わずかですがパーツが欠けているようです。おそらくここを左右対称にすれば振り子が正常な動きをするのではないかと思います。
パーツの欠損部分をプラリペアで補修
この部分をプラリペアというプラスチック補修材で再生することにしました。小さなパーツなので慎重に1ミリ程度の穴をピンバイスで開け、その穴にアルミの針金を通します。
次に型取りのためにチューブをつけて大枠を作ります。ここに補修剤を盛って行くのです。プラリペアは白い粉に専用の液体を落とすと化学反応で固まり出します。大体の大きさまで作ったら、このまま乾燥・硬化するのを待ちます。
ルーターでパーツを整形
完全に硬化したら先ほどの型のためにつけたチューブ取り、針金をニッパで切り取ります。およそヤスリで削りその後、丁寧にルーターで形を整えます。左右のバランスを考え対称になるように。フラリペアはとても優秀な補修材です。
完全に硬化するとプラスチックとほぼ同じ状態です。しかも接着力も強大で接地面のプラスチックを溶かしほぼ同化します。だから見た目は少し悪いですがかけた分を合わせて1つのパーツになるわけです。
修理完了、正常に作動するのか?
たくさんのネジを取り付けて元通りに組み立てます。さて正常に動くでしょうか?
ブックを取り付けてソードを抜いてみます。
ブックが開きます、音も出ました。
次はブックを複数つけて再度ソードを抜きます。
成功です、修理は無事完了しました。この仕組みの特徴はベルトからソードを抜くという動作なので、基本的に地面と水平の状態で正常に作動します。
注意点としては、これは振り子の原理を使っていますので地面と垂直にすると振り子がうまく稼働しない可能性があります。
お子さんが、たくさん遊んだんでしょうね。ソードを何度も抜いているうちに抜き差ししているうちにバックルとソードの接点である振り子のパーツが壊れてしまったんですね。
修理が完成したので持ち主のお母さんにお電話したところとても喜んでいただきました。このボランティアは本当に楽しいです。
YouTube動画はこちらです
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